【要約】「嫌われる勇気」アドラー心理学

この記事のポイント

  • アドラー心理学では「悩みはすべて対人関係から生じる」と考える
  • 承認欲求を捨て、課題の分離を行うことで対人関係の悩みから解放される
  • 進化論的には承認欲求は生存に必要な感情として人間に備わっている
  • 本記事では両者の視点を比較し、現代人の生き方について考察する

あなたは他人からどう思われるかを気にしていますか?SNSでの「いいね」の数や周りからの評価が気になりますか?本記事では、250万部を突破したベストセラー「嫌われる勇気」の核心と、それに対する進化論的視点からの批判を解説します。悩みの原因と解決策について、新たな視点を提供します。

分かりやすく言語化

結論から言語化

承認欲求は私たちの生存に必要な感情だ。

なぜならば、進化の過程で、集団に受け入れられることが生存に有利に働いたため、この感情が備わったからだ。原始時代、一人で行動する者は危険に晒され、集団で協力する者は生き延びた。「認められたい」気持ちが人を集団に貢献させたのだ。

つまり承認欲求は単なる弱さではなく、私たちの脳に組み込まれた重要な生存メカニズムなのである。だからこそ、承認欲求を否定するのではなく、それを理解した上で自分の判断軸を持つことが大切だ。

背景から言語化

人間関係では自分と他者の責任範囲が曖昧になりがちで、これが多くの悩みの原因となっている。例えば、家族の健康を心配するあまり口出しし過ぎると、相手を苦しめるだけでなく自分も疲弊する。

「結果を最終的に引き受けるのは誰か」という視点で考え、自分の課題と他者の課題を明確に分けよう。そうすれば、不必要な心配や対立が減り、自他ともに尊重した健全な関係が築けるだろう。

アドラー心理学とは?嫌われる勇気の基本概念

アドラー心理学の大前提は「私たちの悩みはすべて対人関係から生じる」というものです。職場の上司との関係、恋愛の悩み、親との確執など、突き詰めれば私たちのほとんどの悩みは他者との関わりが根底にあります。

なぜこのような対人関係の悩みが生じるのでしょうか?アドラー心理学では、その原因を「承認欲求」だと説明しています。現代のSNS社会は、まさに承認欲求の象徴と言えるでしょう。「いいね」の数に一喜一憂し、誰かに認められなければ自分の価値を感じられない人が増えています。

承認欲求を捨てるという考え方

アドラー心理学では、他者からの承認を求めて生きることは「他人の人生を生きる」ことだと指摘します。他者の視線や評価に怯え、本当の自分を抑え込んでしまう状態です。対人関係の悩みから解放されるためには、この承認欲求を捨てる必要があるとしています。

では、具体的にどうすれば承認欲求を捨てられるのでしょうか?

課題の分離とその実践方法

アドラー心理学では「課題の分離」という概念を提唱しています。これは「誰の課題なのか」を明確に区別する考え方です。

例えば、あなたの恋人がタバコを吸っているとします。あなたが「健康に悪いからやめなさい」と言うとき、実はあなたは恋人の課題に踏み込んでいるのです。タバコをやめるかどうかの結末を引き受けるのは恋人自身であり、それは恋人の課題なのです。

課題の分離を見分ける簡単な方法は「その選択の結末を最終的に引き受けるのは誰か」を考えることです。この視点から自分の課題と他者の課題を明確に区別し、他者の課題には踏み込まないことが重要です。

進化論からみる承認欲求の意義

ここからは別の視点、進化論的な観点から承認欲求について考えてみましょう。

進化論では、私たちの目的は「自分の遺伝子をできるだけ多く残すこと」であり、心や感情もその目的のために進化してきたと考えます。愛、嫉妬、怒りなどの感情も、遺伝子を残すために有利に働いてきたから今の私たちに備わっているのです。

承認欲求は生存のために必要だった

進化論的に考えると、承認欲求も数億年の進化の過程で人間の本性として作られたものです。

原始時代、人間は一人では生きていけず、集団に溶け込んで協力しながら生活する必要がありました。集団から追放されることは死を意味したのです。そのため「人に認められたい」「集団の役に立ちたい」という承認欲求を持つことが生存に有利に働きました。

承認欲求がある人は集団のために貢献し、集団に受け入れられやすかったのです。逆に、承認欲求がなく「人の評価などどうでもいい」と自分勝手に行動する人は集団から追放され、生き延びるのが難しかったでしょう。つまり、承認欲求は私たちの脳にプログラムされた重要な感情なのです。

アドラー心理学VS進化論:どちらが正しいのか

ここまで見てきたように、アドラー心理学と進化論では承認欲求についての見解が大きく異なります。

アドラー心理学は、承認欲求を捨てることで対人関係の悩みから解放されると説きますが、進化論的には承認欲求は生存に必要な本能だと説明されています。

批判的に考えると、アドラー心理学には科学的根拠が乏しく、あくまでアドラー個人の考えに過ぎないという側面があります。一方、進化論は科学的な裏付けがある理論です。

また、アドラー心理学は西洋的な考え方をベースにしているため、日本人の脳の特性や文化的背景を考慮すると、そのまま適用できるかどうかという疑問も浮かびます。

現代社会における承認欲求とのつきあい方

では、私たちはどのように承認欲求と付き合っていけばよいのでしょうか?

承認欲求を完全に捨てるのは難しいかもしれませんが、その影響力を知り、コントロールすることは可能です。自分の感情の仕組みを理解することで、より主体的な選択ができるようになります。

アドラー心理学の「課題の分離」の考え方は、自他の境界線を明確にする上で非常に有効です。自分の責任範囲を明確にし、他者の課題に必要以上に介入しないことで、対人関係のストレスを軽減できるでしょう。

同時に、進化論的な視点からは、承認欲求そのものを否定するのではなく、それが私たちの本能の一部であることを認め、うまく活用する方法を考えることが大切です。

まとめ:自己と他者の間でバランスを取る生き方

アドラー心理学は「承認欲求を捨てよ」と説き、進化論は「承認欲求は本能的なもの」と説明します。一見対立するこの二つの考え方ですが、共通して示唆しているのは「自己と他者の適切な距離感」の重要性ではないでしょうか。

他者の評価に振り回されず、かつ社会の中で協調して生きていくためには、自分の感情や欲求を理解した上で、自分の責任範囲を明確にし、他者との境界線を適切に設定することが重要です。

本記事著者のあとがき

私自身、「嫌われる勇気」を読んだときに「素晴らしい考え方だけど、実践できるのか?」と疑問を持ちました。進化論的な視点も踏まえると、承認欲求を完全に捨てるのは現実的ではないかもしれません。

しかし、自分の課題と他者の課題を区別する「課題の分離」の考え方は、日常生活での判断基準として非常に有効です。自分の責任範囲を明確にすることで、不必要な悩みやストレスから解放されることができます。

あなたも今日から、悩みに直面したときに「これは誰の課題なのか?」と自問してみてはいかがでしょうか。そして、承認欲求が自然なものであることを認めつつも、それに振り回されない自分らしい生き方を模索してみてください。