【要約】解像度を上げる 馬田隆明

この記事のポイント

  • 物事をぼんやりと理解している状態は「解像度が低い」状態で、具体的に理解している状態は「解像度が高い」状態
  • 解像度が高い人はセンターピン(最も重要なポイント)を特定でき、成功へ最短ルートで進める
  • 解像度を高めるには「深さ」「広さ」「構造」「時間」の4つの視点が重要
  • 深さを高めるには「行動→思考→行動」を繰り返し、粘り強く続けることが必須
  • 広さを高めるには本を読み、人の話を聞いて視野を広げること
  • 構造を高めるには頭の中の考えを図にして整理すること
  • 時間の視点を高めるには過去の失敗例と未来の変化を予測すること

仕事で「なんかふわっとしていますね」「具体的に何が言いたいんですか?」と指摘されたことはありませんか?

それは話すのが苦手なのではなく、物事の理解が浅いことが原因かもしれません。

例えば、シンガポールに行ったことがなければ、その良さについて具体的に語ることは難しいでしょう。一方で、日本の良さなら寿司やラーメンなど具体的に語れるはずです。

本記事では、Microsoftで働いた後に東京大学でスタートアップの教育を行っている馬田貴明さんの著書『解像度を上げる』を元に、物事を深く理解して成功しやすくなる方法を解説します。

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物事を深く理解する「解像度を上げる」スキルは、成功への最短ルートを見つける上で不可欠です。

なぜなら、解像度が高い人は物事の「センターピン(最重要ポイント)」を見つけられるため、限られたリソースで最大の効果を生み出せるからです。

例えば、ダイエットに悩む人が「食べ過ぎが原因」という漠然とした理解から、「間食のお菓子を低糖質のおやつに変える」という具体的な対策を見つけ出せれば、効率的に結果を出せます。

ゆえに「深さ(行動と思考の繰り返し)」「広さ(本を読み、人の話を聞く)」「構造(頭の中を図にする)」「時間(過去の失敗から学び、未来を予測する)」の4つの視点で解像度を高めることで、課題解決の突破口が見えてきます。

今あなたが直面している最大の課題について、まず行動してみて、その結果をノートに書き出し、「なぜうまくいかないのか」「どうすれば改善できるか」と自問自答してみませんか?

背景から言語化

多くの人は仕事やプライベートで「なんとなく」「ふわっと」した理解のまま行動してしまい、なかなか成果が出せずに悩んでいます。

解像度が低い状態では、課題の本質的な原因を特定できず、効果の薄い対策に時間とエネルギーを費やしてしまうため、同じ努力をしても成功しにくいのです。

課題に直面したら、まず行動して情報を集め、本や人から幅広い知識を得て、自分の考えを図に書き出し、過去の失敗例を学ぶという4つの視点で解像度を高めましょう。

解像度が高まれば課題解決の「センターピン」が見えてきて、効率的に問題を解決できるようになり、仕事やプライベートでの成功確率が飛躍的に高まります。

「解像度が高い人」はなぜ成功しやすいのか

解像度とは何か?

解像度とは「物事をどれだけ具体的に理解しているか」を表す概念です。

  • 解像度が低い状態
    カメラのピントが合っていないようにぼやけて見える状態。具体性がなく、とんちんかんな発言をしてしまう。
  • 解像度が高い状態
    物事がくっきりと見えている状態。思考や発言、行動がより具体的になる。

馬田さんによれば、東大で支援している優秀な起業家は、もれなく自分の取り組んでいることに対して解像度が高い人たちばかりだそうです。

「センターピン」の重要性

解像度が高い人が成功しやすい最大の理由は、「センターピン」を見つけられるからです。

センターピンとは、ボーリングで一番前に立っている真ん中のピンのこと。このピンを倒さないとストライクは絶対に取れません。逆に言えば、ボールが遅くても力が弱くても、このセンターピンにさえぶつければストライクが取れることもあります。

物事も同様で、最も効果的なポイントに力を集中できれば、時間もお金も気力も限られた中でも成功しやすくなります。解像度が高い人は、このセンターピンを見つけられるのです。

解像度を高める4つの視点

解像度を高めるには、「深さ」「広さ」「構造」「時間」という4つの視点を磨くことが重要です。

1. 深さを高める:行動と思考の繰り返し

深さとは、一つの現象をどこまで詳細に把握しているかを指します。

具体例を挙げると、「彼女がいない」という課題に対して:

  • 原因:自分に魅力がない
  • なぜ魅力がない:太っているから
  • 対策:ダイエットする
  • 具体的方法:週3回HIITトレーニングをする

このように一つの情報を具体的に深掘りしていくことが「深さ」です。

深さを高めるには、行動して考えて行動の繰り返しが重要です。

例えば「痩せない」という課題に対する行動と考えの繰り返し例は以下の通りです。

  1. 「おやつをブルーベリーに変える」と仮説を立てて行動する
  2. それでもうまくいかなければ「なぜうまくいかないか?どうすればいいか?」と自分に問いかける
  3. 「白米を玄米に変えてみよう」など新たな仮説を立てて行動する

このサイクルを繰り返すことで、痩せない原因が本当は糖質摂取にあるといった気づきを得られることがあります。

著者によれば、良いアイデアにたどり着くには少なくとも200時間の情報収集と思考と行動が必要だそうです。

さらにそのアイデアの検証にはさらに200〜400時間かかるとのこと。粘り強く続けることが大切です。

2. 広さを高める:本を読み、人の話を聞く

広さとは、選択肢やアプローチの多さを指します。

例えばダイエットの方法として「走る」「ジムで筋トレ」という二択しかない人よりも、「HIIT」「水泳」「散歩」「ボルダリング」「ヨガ」「キックボクシング」など多くの選択肢を持っている人の方が、自分に合う方法を見つけやすく、「これがダメならあれをやろう」と柔軟に対応できます。

広さを高めるには、本を読み、人の話を聞いて新しい情報に触れることが重要です。

本を読むことで新しい言葉(語彙)を覚えることも大切です。語彙が増えると世界をより細かく見ることができるようになります。

プログラマーやイラストレーター、医師などと情報交換する場合、彼らが使う専門用語を理解しないとうまくコミュニケーションができません。

著者は「本屋に行って自分の課題に関連する業界の本を端から端まで買いなさい」とアドバイスしています。例えば不動産オーナーになりたいなら、まずは不動産オーナーの書いている本を片っ端から読むべきでしょう。

3. 構造を高める:頭の中を図にする

構造とは、自分の頭の中で考えていることを言語化して図に分かりやすくまとめることです。

例えば「千と千尋の神隠し」を5回見ても、そのストーリーを質問されて答えられないことがあります。それは内容を深く理解できていないからです。ストーリーを一度紙に書き出して図にすれば、何を理解して何が理解できていないのかが明確になります。

構造を高めるには、自分の考えをロジックツリーやマインドマップなどの図にすることが有効です。

何も見ずに図にできるということは、その物事を深く理解できている証拠です。自分の考えが具体的になり、相手にも分かりやすく伝えられるようになります。

実際にAmazonの創業者ジェフ・ベゾスが若い頃、Amazonが大きくなるための方法をメモに書いた図が残っています。それは「販売者が増えれば商品ラインナップが増え、お買い得な商品が増えればお客が増え、アクセスが増えれば販売者が増える」という好循環を図式化したシンプルなものでした。

4. 時間の視点を高める:歴史から学び、未来を予測する

時間の視点とは、過去や歴史について知り、時代の変化を踏まえて効果的な打ち手を模索することです。

例えば彼女を作るために昔はナンパやコンパが主流でしたが、今ではマッチングアプリが主流になっています。時代の変化を知らないと、効率の悪い方法に時間を費やしてしまいます。

時間の視点を高めるには、同じミスをしないよう歴史や過去の失敗をチェックしておくことが重要です。

例えばダイエットでは、食事制限を厳しくし過ぎて挫折したり、筋トレをやり過ぎて腰を痛めたりして挫折する人が多いです。会社が潰れるパターンもだいたい決まっています。先人たちの「失敗あるある」を知っておけば、同じ轍を踏まずに済みます。

ただし、失敗から学ぶことも大切ですが、それは「取り返しのつく失敗」に限ります。一発のミスで数億円の借金を抱えたり会社が傾くような大きな失敗は避けるべきです。

また、過去だけでなく未来の予測も重要です。例えば、日本の人口減少による労働者不足や後継者不足、AIの発展など、時代の変化によって自分たちの業界にどういった変化が起こるのかを予測しておくことも必要です。

ビジネスにおける解像度の重要性

ビジネスの場合、解像度を高める対象は「顧客の課題」と「競合との差」の2つです。

個人的な課題なら「痩せない」「彼女ができない」など自分の悩みの解決に解像度を上げればいいのですが、ビジネスでは「顧客の悩み」を解決するために解像度を上げる必要があります。

例えばカメラメーカーなら、顧客が「望遠レンズが重い」という課題を抱えているとします。それを解決する商品を作る必要がありますが、同時に「競合」も意識しなければなりません。

ニコン、キヤノン、ソニーなど様々なブランドがある中で、明らかに競合よりショボくて高くて重くてダサい商品を出していたら売れません。ライバルの商品をしっかりと把握した上で違いを出すことが大事です。もしライバルのレンズが500gなら、こちらは200gのレンズを作るというように。

著者は、ビジネスの解像度が高まると次の文章の空欄を簡潔に埋めることができるようになると述べています:

「[課題を抱える顧客]向けの[商品名・サービス名]です。これには[商品・サービスの特徴]という利点があります。他の[競合]とは違い[自社商品・サービスの独自性]という機能が備わっています。」

例えば: 「本を立ち読みする場所や本を読む時間がなくなるという課題を持つビジネス書を読む成長意欲の高い人向けのフェルミ漫画大学という本の要約チャンネルです。これには漫画で分かりやすく本を解説するという利点があります。他の要約チャンネルとは違い会話でビジネス書を分かりやすく解説するという機能が備わっています。」

解像度を上げるにあたっての注意点

最後に大切なのは、解像度を上げるために時間を使いすぎないことです。

解像度を上げることだけを目的にすると、「お尻博士」のように知識だけが増えて行動に移せなくなってしまいます。あくまで課題を解決するのが目的ですから、ある程度見通しがついたら行動してしまった方が良いでしょう。

まとめ:解像度を上げて成功への最短ルートを見つける

  • 解像度が高いと物事を深く理解でき、最も重要なポイント(センターピン)に気づくことができる
  • 解像度には「深さ」「広さ」「構造」「時間」の4つの視点がある
  • 深さは行動と思考を繰り返すことで高まる(最低200時間の努力が必要)
  • 広さは本を読み、人の話を聞くことで高まる(関連する本を片っ端から読むくらいの意気込みで)
  • 構造は頭の中の考えを図にすることで高まる(理解度が深まり、伝わりやすくなる)
  • 時間の視点は過去の失敗例を学び、未来の変化を予測することで高まる
  • ビジネスでは「顧客の課題」と「競合との差」の解像度を上げることが重要
  • 解像度を上げるために時間を使いすぎず、ある程度見通しがついたら行動に移す

本記事著者のあとがき

この本を読んで、私自身も「解像度を上げる」という概念に非常に納得しました。確かに、物事を深く理解している人ほど具体的な行動に移せており、成功している印象があります。

特に印象的だったのは「センターピン」の考え方です。物事をうまく進めるために一番重要なポイントを特定するという考え方は、時間やエネルギーが限られている中で効率よく結果を出すために非常に重要です。

また、解像度を上げるための「深さ」「広さ」「構造」「時間」という4つの視点も実践的です。特に「構造」、つまり頭の中の考えを図に書き出すという習慣はあまりなかったので、これから意識してみようと思いました。

今、あなたが何か課題を抱えているなら、ぜひその課題に対して解像度を上げてみてください。

具体的には以下の通りです。

  1. まずは行動してみる(仮説を立てて試す)
  2. 本を読んだり人の話を聞いたりして選択肢を増やす
  3. 頭の中の考えを紙に書き出して図にしてみる
  4. 過去の失敗例や歴史を学び、時代の変化を読む

これらの視点で課題を捉え直すと、これまで見えていなかった「センターピン」が見えてくるかもしれません。そうすれば、あなたの課題解決は一気に加速するでしょう。